日本で最も気をつけなければいけない危険生物はスズメバチです。
ヒグマやサメなど出くわせば危険な生物はいますが、山や海に行かなければ出くわす可能性はほとんどありません。
しかし、スズメバチは私達が生活する住宅街に巣を作り、そこに近づいてくる人間を攻撃してくるのです。
その毒は猛毒で、カンタンに人間を殺してしまいます。
実際に毎年20名以上の方が、日本でも被害にあって死に至っているのです。
そこで本記事ではそんな怖いスズメバチの生態系はもちろん、以下のことについてご紹介。
ここで分かる情報
スズメバチの危険性を十分に知った上で、正しい対策方法や駆除方法について紹介しています。
スズメバチはクマや蛇よりもずっと怖い!?
毎年300件以上が報告されているハチによる被害。
現在、主に「スズメバチ」、「アシナガバチ」、「ミツバチ」の3種類が国内に生息していますが、その中でも身体が大きく攻撃性・毒性が強いのがスズメバチです。
2017年10月に起きた、電動車イスに乗って生活する80代女性が帰宅途中にスズメバチに襲われて死亡した事件は、まだ記憶に新しいですよね。
50分間に渡ってスズメバチに150箇所以上を刺されてしまい死亡した、あの恐ろしい事件です。
愛媛県大洲市で先月11日、車いすの女性がスズメバチの群れにおよそ50分間にわたり襲われ、死亡するという痛ましい事故が起きた。
出典:スズメバチに50分間刺されて死亡 なぜ女性を救えなかったか | 文春オンライン
国内で最も凶暴で危険な昆虫といわれているスズメバチは、すでに以下の習性があることがわかっています。
- 巣を守るために敏感な防衛行動をとる
- スズメバチの多くが好戦的な性格
- 毒液が体内に残っている限り何度でも繰り返し刺してくる
- 刺すだけではなく霧のようにまくこともあり、失明や呼吸困難の原因となる
- 香水や黒っぽい服装はスズメバチを興奮させてしまう
- 巣から10m以内にいるとかなり危険
なぜ、多くの方がスズメバチの被害にあってしまうのか。
それは、スズメバチが気づきにくいところに巣を作ってしまうという理由があげられます。
何も意識せずに歩いていると、すでにスズメバチの危険エリアのなか。
無数のスズメバチの攻撃から逃げ遅れてしまうと、最悪の場合アナフィラキシーショック(呼吸困難や全身の腫れ、意識障害)によって数十分で死に至ってしまうのです。
厚生労働省の注意喚起の意味をこめて作られたレポートでは、以下のようなことが記載されています。
外部サイト「スズメバチ、ジガバチおよびミツバチとの接触」による死亡は24名
その数はクマや蛇による死亡件数よりも圧倒的に多い数字となっています。
自身を守ることはもちろん、大切な家族を守るために、スズメバチに対する正しい知識を身に着けておきましょう。
日本に生息するスズメバチの種類と特徴
日本に生息するスズメバチにはいくつかの種類が存在し、それぞれで生息地域も異なります。
違いを把握し適切な対処方法を心得ておきましょう。
オオスズメバチ
刺された時の痛みが最も強いオオスズメバチ。
体長27~40mmにもなり、国内に生息するハチのなかで最も身体が大きく、昆虫界でも最強の捕食者と言われている。
巣は土の中や外壁に覆われた場所に作るため、気づくのが難しく近寄るとすぐに攻撃をしかけてくる。
最大スピードは40キロ近くになると言われており、逃げ切ることができずに被害にあってしまうことが多い。
国内で最も気をつけなければいけないのは、間違いなくオオスズメバチだろう。
キイロスズメバチ
近年都会で増加傾向にあるキイロスズメバチ。
オオスズメバチよりも身体は小さく体長17~24mmほどしかないが、気性が荒く刺されると死に至る可能性がある。
全身に占める黄色の割害が多いため、見分けやすい種類。
巣は閉鎖空間につくられて、数が大きくなり狭くなると開放空間へと引っ越していく習性があるが、そのまま巣を拡大していくケースも確認されている。
巣は丸みを帯びたボール型で、スズメバチのなかでも最大級の巣を作る。
コガタスズメバチ
オオスズメバチと見た目が似ていて、判別するのがとてもむずかしいコガタスズメバチ。
都会や住宅街に順応しているため、人と接触する機会が多いが、他のスズメバチと比べると攻撃性が弱いのが特徴。
越冬を終えた女王バチが6月後半までは1人で巣を作り続ける。
この時期の巣はトックリを逆さにしたような形をしており、外皮が一層しかないため、もろく崩れやすい。
しかし、働きバチが羽化すると、コガタスズメバチの巣の形は大きな変化をみせる。
何段にもなったボール状の外皮が重なって、巣を守る役割を十分に担った立派な巣へと変貌する。
ヒメスズメバチ
オオスズメバチの次に体長が大きいヒメスズメバチ。
女王も働きバチも24~37mm前後と非常に大きく、威嚇行為は高いが性格はおとなしいため、巣を刺激しない限り攻撃してくることは少ない。
お尻が黒く、腹部は黄色と黒色のしま模様となっているため、他の種類との見分け方もカンタン。
主食としているアシナガバチの活動時期にあわせて動き始めるため、他のスズメバチよりも1~2ヶ月ほど活動を開始する時期が遅い。
巣を作る場所は、屋根裏や土の中などの閉鎖空間が多く、身体の大きさに反して巣のサイズはとても小さいのが特徴。
モンスズメバチ
日没した後も活動を続ける珍しいスズメバチ。
ヨーロッパから日本まで、世界各国に生息しているが、最近では他のスズメバチの勢力に負けて徐々に減少傾向にある。
体長は20~28mm程度で、腹部に黒色と黄色の縞模様があるのが特徴。
昔は、「3箇所刺されると死ぬ」と言われていたが、現在はその毒性があまり強くないことが分かっている。
しかし、“餌場を荒らす・巣に危害を加える敵”と認識された場合、一斉に人間に襲いかかり過去には死に至ったケースもある。
クロスズメバチ
全体的に身体が黒いため、すぐに見分けをつけられるクロスズメバチ。
日本全国の平地から山地まで広く生息しているのが特徴。
身体は他のスズメバチよりも小さく、11~18mm程度しかない。
クロスズメバチと聞くと、名前のイメージから危険性が高く感じられるかもしれないが、攻撃性・威嚇性がともに弱い。
また、毒性も他のスズメバチと比較すると非常に弱いため、スズメバチのなかでは危険度が高くないことで知られている。
ただし、それでも刺されると痛みは強いため、油断は禁物。
チャイロスズメバチ
中部地方から北部に生息しているチャイロスズメバチ。
他のスズメバチにはない特徴をもっており、キイロスズメバチやモンスズメバチの巣を襲い奪いとってしまう。
相手の巣にいる女王バチを殺した後、その巣に生息しているスズメバチに自分達の子供を育ててもらうのだ。
あまりお目にかかる機会がないほど珍しい種類で、体長は17~27mmと平均的な大きさ。
全身は黒もしくは茶色く、他の種別との見分けがつけやすい。
ツマグロスズメバチ
インドやスリランカ、インドネシアや中国などアジア全域に生息しているツマグロスズメバチ。
日本には沖縄にしか生息しておらず、働きバチの体長は20mm程度しかない。
国内では農作業中に被害に合う方が多いが、基本的には過度に怖がる必要はなく、巣を刺激しなければ攻撃されることはない。
しかし、木の枝や草むらなどの低く開放されている空間に巣を作るため、気づかぬうちに刺激してしまい被害にある場合がある。
ツマアカスズメバチ
2012年に対馬で発見された外来生物ツマアカスズメバチ。
体長は20~25mm程度とそこまで大きくはないが、ツマアカスズメバチによる被害は世界中で報告されている。
ミツバチを食べてしまうため、養蜂業への被害はもちろん生態系も破壊しつづけている。
しかし、最も危険度が高いポイントは、その増加スピード。
ヨーロッパでの発見は2005年ごろのフランス南西部のみだったが、それからわずか5年後にはフランスを越えてスペイン北部まで進出。
それから2年後の2012年には、ポルトガルやドイツ、ベルギーでも確認されているほど生息圏を拡大する力がある。
日本での被害を食い止めようと多くの研究者が尽力しているが、今後さらに注意しなければいけないスズメバチだろう。
スズメバチは意外と天敵が多い!?
前項で紹介したように、日本国内に生息しているスズメバチは9種類。
決して油断できないほど獰猛で強い毒をもっている種ばかりですが、スズメバチは意外と天敵にあふれています。
駆除だけでなく、食物連鎖の意味合いでも人間はスズメバチの天敵だといえます。
事実、熊本県や宮崎県の一部地域では幼虫や成虫を珍味として食す習慣があり、ハチミツ漬けや焼酎漬けにした商品が多く売られているのです。
小学生のころ追いかけまわしていたオニヤンマ。
毎年夏になるとたまに見かけますが、オニヤンマは獰猛性が高くスズメバチをも捕食することがあります。
スズメバチは他のハチを襲うことがありますが、トウヨウミツバチは小さい身体ながら大きなスズメバチを殺す能力をもっています。
その方法は蜂球とよばれるもので、スズメバチを中に包むように団子の形になり、44~46℃まで温度をあげて蒸し殺してしまうという方法です。
スズメバチが活発になる時期は?
国内に生息するほとんどのスズメバチが4月~11月ごろまで活動をしています。
その期間のなかで、スズメバチに最も注意しなければいけない時期は、新しい女王バチと雄バチの産卵・育成期間中です。
この時期は巣の周りに門番として働きバチを巡らせており、巣のセキュリティを最高レベルまで高めます。
また、国内に生息している9種類のスズメバチはそれぞれ時期が多少ズレているため、長期間気をつけなければいけません。
オオスズメバチ | 8~10月 |
キイロスズメバチ | 7~10月 |
コガタスズメバチ | 7~10月 |
モンスズメバチ | 7~8月 |
ヒメスズメバチ | 8~9月 |
上記の表のとおり、7~10月の夏から秋の期間は、常に注意が必要です。
家にスズメバチの巣を作らせない対策方法
ここまでは、スズメバチの怖さや種類について紹介しましたが、ここからは家の周辺に巣を作らせないための方法を紹介。
執筆者である私は北海道の山の麓に20年近く住んでいるのですが、過去に3回ほどスズメバチの巣を作られた経験があります。
幸い、それほど大きくなる前に毎回発見しているため被害にあったことはありません。
しかし、大切な家族がスズメバチの被害にあってしまうのではないかと、毎年夏から秋の時期は不安になります。
そこで、私が家族をまもるために行っているスズメバチ対策方法を3つ紹介します。
毎年スズメバチに悩まされている方は、是非実践してみてください。
『木クレオソート』は塗るだけでスズメバチ除けの効果あり
木クレオソートとは、ブナや松などの原木を乾溜分解して、木タールを蒸留した淡黄色の液体です。
主に医薬品として使われており、日本人に親しみ深い正露丸の主成分としても知られています。
人間の身体に悪影響を及ぼすと一時期言われていましたが、学術文献でもそのような事実は一切ないことが発表され、その後反論がでていません。
スズメバチに巣を作られそうな場所に塗ることで、寄せ付けない効果が期待できます。
ただし、木クレオソートは控えめに塗っても効果が実感できないので注意が必要です。
『くっさいなぁ……』と思うくらいガッツリ塗る必要があるため、人通りが多い壁に塗る場合は下記の方法をチャレンジしてください。
木酢液のニオイがハチに山火事と勘違いさせる効果がある
スズメバチ避けに効果絶大なのが、木酢液です。
ツーンとした酸っぱいニオイが特徴的ですが、ものが焦げたニオイと非常に似ていることから、スズメバチは山火事との見分けがつけられないと言われています。
木酢液は市販で販売されているため、わざわざ作らなくて良いですが、そのまま使用することは臭いがきつすぎるのでオススメしません。
木酢液:水=1:1の割合で薄めてから、スプレー上のボトルに入れて吹きかけるようにしてください。
また、雨ざらしの場所には、効果が短くなってしまいますので、忘れずに定期的にふりかけておくことが大切です。
こちらの商品が安くてスズメバチ対策に効果があったのでオススメ。
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一番効果があるのが防虫ネット
地面に巣を作られるのを防止するさいに、最も役にたつのが防虫ネットです。
入り込めないところに巣を作ることはスズメバチといえど100%できません。
防虫ネットは網目があるため、通気性にも優れ風で飛ばされる心配がありませんし、スズメバチ以外にもカメムシやムカデなど害虫の侵入を防ぐ効果もあります。
見栄えに関しては残念ですが、その効果は絶大。
「シンセイ防虫ネット」が手頃な価格帯・品揃えが豊富な点からも非常におすすめです。
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危険度100%?自分で行なうスズメバチの駆除
気づいた時にはすでにスズメバチの巣を作られてしまった場合はどうするべきか。
お子さんや家族を守るためにもすぐに駆除したいところですが、万全な準備しなければ行動に移してはいけません。
また、スズメバチの駆除方法は以下のとおりです。
- 自分で殺虫剤などを用意して駆除する
- トラップを仕掛けて時間をかけて減らしていく
- 害虫駆除業者に依頼する
あなたが防護服を持っている場合、1でも良いでしょう。
しかし、もし防護服が用意できないなら、絶対にスプレーを握りしめてスズメバチの巣へと走りだすことはしないでください。
スズメバチの駆除はトラップを仕掛けるまで!
急に襲いかかってきたスズメバチを撃退するためには、スプレータイプの殺虫剤がオススメです。
スズメバチを殺す有効成分フタルスリン、モンフルオロトリン、イミプロトリン、ビフェントリンが配合されているため、高い速効性と致死効果がある「スズメバチマグナムジェットプロ」を1本持っておくだけでいざという時に闘うことができます。
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しかし、わざわざスズメバチの巣に近づいて行くのはあまりにもリスクが大きすぎるため絶対にNG。
そこでオススメの方法がスズメバチ専用ペットボトルトラップです。
スズメバチ専用ペットボトルトラップの作り方
一時期NHKの番組でも紹介され、5箇所に設置したさいに300匹以上のスズメバチを駆除することに成功し話題になっていましたね。
作り方もカンタンですし、設置数を増やせば増やすほど効果もあります。
また、スズメバチの巣の場所を見つけられていない場合にも有効的です。
- ペットボトル:1.5リットル、炭酸系の丸い形をしたもの(ハチが逃げづらいため)
- お酒:1升(激安のでOK)
- お酢:600cc
- 砂糖:750g
- ペットボトルのキャップから2センチほど下がった場所に印をつける
- その印を中心に1辺1.2センチの四角形を3箇所作成する
※ねずみ返しを作るために、四角形の上と横の部分だけを切った状態にし、下の部分は残しておく - お酒・お酢・砂糖を加熱せずにそのままよく混ぜる
- ペットボトルの底から7センチのラインまで3の液体を入れる
スズメバチの設置方法はカンタンで、ペットボトルの口元にひもを取り付けて木にぶら下げるだけです。
直射日光を避ける場所に設置し、また人が通る場所には仕掛けないように注意してください。
スズメバチの害虫駆除業者は市から補助金が支給される?
スズメバチを駆除する方法で、もっとも安全かつ確実なのが害虫駆除業者に依頼することです。
費用は平均して8,000円~20,000円前後(スズメバチの種類・巣の大きさ・場所によって変動)と、他の方法に比べると値段が上がってしまいます。
しかし、現在は安全な生活環境を確保する目的で、スズメバチの駆除費用の1部を補助する制度を設けている市が全国的に広がっています。
例えば水戸市の場合は、費用の2分の1の額を補助、上限10,000万円までは変わりに負担してくれるのです。
申請方法は市町村によって変わってしまうため、事前に近くの自治体に確認してください。
もしスズメバチ駆除の補助金が支給される場合、費用も格段に抑えて、なおかつ安心・安全・確実にスズメバチからの被害を食い止めることができます。
しかし、補助金がでない場合はどうするのでしょうか?
ちなみに、私が住む北海道札幌市は、スズメバチを駆除するさいに補助金制度が1円も出されません。
不満はもちろんありますが、自分で行なうのはあまりにも危険すぎるため、やはり専門の害虫駆除業者に依頼するほかありません。
現在は、駆除業者の値段やサービスをカンタンに比較できるサイトもありますので、是非そちらを参考にしてください。