日本がペット大国であることは言うまでもありません。
多くの方がさまざまな種類のペットとともに、毎日の生活を営んでいます。
しかし、春から秋にかけては、ゴキブリやムカデ、ノミ、ダニなどの害虫が住宅内やその周りに発生し駆除をしなければ行けない状況になるということも。
そんな時に、
と不安になってしまいますよね。
- 殺虫剤を使用しても良いの?
- 駆除業者に依頼するさいの注意点は?
などの疑問を解消できるように、本記事ではペットと殺虫剤の関係性について徹底解説していきます!
ここで分かる情報
害虫駆除の薬剤は犬やネコにとっても健康被害の原因になる?
人間にとっての害虫はシロアリやゴキブリ、ムカデ、クモ、ダニなど無数に存在します。
これらを駆除するために殺虫剤を使用するわけですが、“ペットへの健康被害”がどうしても気になってしまいますよね。
まず、結論から。
哺乳類のペットを飼育している場合、ピレスロイド系と記載されている商品は特に心配いりません。
ピレスロイド系の特徴は、即効性や忌避効果などさまざまな効果がありますが、そのなかでも安全性が高いという特徴があります。
害虫にかけると神経が麻痺して呼吸困難を引き起こし退治することができますが、哺乳類の場合はこの成分を分解する能力があるのです。
現在、ドラッグストアなどで購入できる殺虫剤の多くは、このピレスロイド系が主成分となっています。
金鳥の商品などが良い例ですね。
他にも、ピレスロイド系の仲間として以下の成分があげられます。
アレスリン | ハエや蚊に速効性の効果がある |
イミプロトリン | 即効性がある |
エムペントリン | 衣類害虫にも有効的 |
シフルトリン | 広範囲の害虫駆除に効果的 |
シラフルオフェン | 魚毒性が低い |
トランスフルトリン | 揮散性(蒸発のこと)が高く、殺虫効果が高い |
ピレトリン | 即効性がある |
プロフルトリン | 常温で揮散、衣類害虫にも効果的 |
フラメトリン | ハエや蚊に速効性の効果がある |
フェノトリン | 残効性と速効性がある |
ペルメトリン | 残効性が強い |
プラレトリン | ハエと蚊に特効性がある |
これらが主成分となっている場合、適切な使用方法を守れば哺乳類(犬やネコなど)の命に関わるような危険はまずないといえます。
それでも危険!犬やネコを飼っている方が注意しなければいけないこと
上記ではピレスロイド系が主成分となった殺虫剤を使用するさいには、基本的に哺乳類のペットには害がないと紹介しました。
しかし、ピレスロイド系以外の殺虫剤では、犬やネコをはじめとした哺乳類でも駆除剤によって中毒症状を引き起こしたケースが過去にあります。
犬やネコに毒性がある殺虫成分は有機リン系です。
有機リン系は、筋肉を興奮させて神経伝達に大切な役割を果たすアセチルコリンを分解するための酵素の活動を抑制してしまいます。
つまり、分解できなくなったアセチルコリンが過剰に働いてしまう状態になり、以下の症状があらわれる場合が現れる危険性があるのです。
- 呼吸困難
- 筋肉痙攣
- 尿の垂れ流し
- 脈速度の低下
- 倦怠感
- 頭痛や吐き気
- 抑うつ状態
これらの症状は、犬やネコだけでなく、人間にも同様の症状が現れる危険性があります。
それもそのはず、日本では特に聞き馴染みのある毒薬“サリン”も、有機リン系農薬なのですから。
とはいえ、現在市販で使用されている殺虫剤は、厚生労働省から使用認可が降りた人間にとって安全性が約束された商品だけです。
害虫駆除用としての濃度と利用方法を正しく守れば、人間はもちろん犬、ネコなども中毒を発症するということはほとんどありません。
しかし、ネコであれば室内でのマーキング※1とグルーミング※2を行う習性があることからなおさら心配という方も多いでしょう。
そんな方は、ピレスロイド系殺虫剤もしくは、殺虫成分が含まれていないペットにも安全な殺虫剤を使用するようにしてください。
※1マーキング
壁や家具に頭や身体をこすりつけて自分の匂いをつけておく行為
※2グルーミング
全身の毛をキレイに舐め取る作業
殺虫剤の成分でペットに中毒症状が起きた場合
まず言えることは、素人が判断するのは非常に危険だということを覚えておきましょう。
有機リン系殺虫剤は経口摂取だけではなく、皮膚についただけでも中毒症状が起きる場合があります。
症状が起きてから時間が経っていない場合は、嘔吐を促す薬や活性炭を投与して毒物の吸着などが効果的です。
しかし、吐かせるのが効果的ではない場合もあり、既に体内に吸収されてしまっている毒物については利尿作用を高める薬の投与を行います。
また、有機リン系の場合は、上記でも説明したとおりアセチルコリンの過剰分泌が原因で中毒症状が発症してしまうため、これを抑制するためにアトロピンという薬を投与することで症状が改善する場合もあるのです。
どちらにせよ、殺虫剤による中毒が見られた場合はその症状を控えておき、医者にすぐに詳しい状況を伝えられるようにしておきましょう。
害虫駆除業者に依頼するさいに事前に伝えておくこと
ピレスロイド系は基本的には哺乳類には問題がなく、有機リン系剤は注意が必要ということが分かりましたね。
そのため、市販の殺虫スプレーを選ぶ際には、最低でもピレスロイド系殺虫剤を選ぶようにしてください。
とはいえ、もし害虫駆除業者に依頼をするという場合はどうなるのか?
公式サイトに使用薬剤を記載してくれている業社もありますが、もちろん全てではありません。
そのため、害虫駆除業者に申し込むさいに、アナタが飼っているペットの種類を伝えるようにしておきましょう。
適切な指示が受けられるのはもちろんのこと、より安全な駆除剤を使用してもらえるはずです。
赤ちゃんや子どもがいるけれど害虫駆除業者に依頼しても大丈夫か気になる方は下記をチェックしてください。
爬虫類や魚を飼っている方はピレスロイド系殺虫剤も厳禁
ここまでは、主に哺乳類(犬やネコ)と殺虫成分の関係について紹介しました。
ピレスロイド系殺虫剤は限りなく犬やネコにとって害を及ぼさない殺虫成分ということはわかっていただけたと思います。
しかし、有機リン系は経口摂取だけでなく、皮膚についただけでも中毒症状を引き起こす可能性があると説明しました。
なるほどぉ…ピレスロイド系殺虫剤ならOKなんだね
ただし、これはあくまでも哺乳類にのみ限ったことであり、爬虫類飼育者は特にピレスロイド系の使用も厳禁です。
変温動物にとってはピレスロイド系も総じて効果があるため、金鳥をはじめとした殺虫スプレーを使ってはいけません。
また、熱帯魚をはじめとした魚を飼っている方も要注意です。
爬虫類よりは直接的な被害は起きませんが、密室で長時間使用し続けるバルサンなどは、高確率でなんらかの被害にあってしまいます。
爬虫類や魚の他にも、昆虫、エビなどは殺虫成分が含まれている商品の使用自体がオススメできません。
どうしても使用したいのであれば、自宅からペットを一度他の家にあずけて駆除作業を行うようにしてください。
それも難しいという方は以下の商品を使用することをオススメします。
子どもやペットがいるご家庭でも安心して利用できる殺虫剤や殺虫商品
ペットがいるご家庭や小さなお子様がおられるご家庭でも安心して利用できる殺虫剤や殺虫商品を紹介したいと思います。
ただし、お子様のおられる過程の場合は保管方法には十分にお気を付けください。
殺虫剤ではなく、ラケットの網目から電気が流れている殺虫アイテムをご紹介します。
網目状のラケット部分にミートさせることができれば一撃で感電させて退治できるという優れものです。
もちろん、ペットへの健康被害を気にする心配は一切ないため、小バエや蚊に悩んでいるという方は蚊取りラケットをオススメします。
殺虫成分は配合されていませんが、マイナス75度の冷却ガスによって瞬間凍死させることができる優れものです。
商品名ではゴキブリと記載されていますが、基本的には床や壁を歩いている害虫すべてに効果があるといえます。
殺虫スプレー独特の匂いもほとんどなく、ピレスロイド系殺虫剤とは違い使用したあとに拭き取る必要もありません。
また、ペットのいる部屋で使用するのは気が引けるという方も、こちらの殺虫剤であれば吸い込んでしまった場合でも安全です。
コスパが通常の殺虫スプレーよりも少し高めというデメリットはありますが、安心して利用したいのであれば「ゴキブリ凍止ジェット」を使用しましょう。
日本の夏の風物詩である蚊。
布団に入った瞬間耳元でプ~ンという羽音がした瞬間の絶望はなかなかのものです。
いままで蚊退治といえば蚊取り線香でしたが、これはピレスロイド系が主成分であるため、できる限り使用しないほうが良いでしょう。
そこでオススメなのが、「蚊とりポット」です。
殺虫成分なし・匂いなし・音なしのこの商品は、最新版蚊取り線香のようなもの。
Co2を排出し蚊を集め、さらに走光性を利用して容器に近寄らせて一気に吸引して閉じ込めるという中々ホラーな仕組みになっています。
ペットや子どもがいるご家庭ではもちろん、妊娠中の方にもオススメです。
蚊の生態系や駆除、対策方法について知りたい方はこちら「蚊の生態や駆除・対策方法」をチェックしてください。